2015年06月05日
《不都合な真実》海洋汚染
今、改めて、海洋におけるゴミの問題が顕在化してきている。
特に圧倒的に量が多いのがプラスチック・ゴミである。

2010年のデータでは、海に捨てられたり流れ出たりしたプラスチックの量は、1年間だけで、
800万トン(統計により、480万トン~1,270万トンの幅がある)に上ると試算されている。
日本のプラスチックの生産量が、年間約1,000万トンであるから、
日本で生産されたプラスチックに相当する量が、毎年、海に投棄されていることになる。
因みに、世界のプラスチック生産量は、約2億8800万トンである。

プラスチックごみの投棄量を国別にみると、1位が(他を大きく引き離して)中国、
それにアジアの新興国(インドネシア、フィリピン、スリランカ、ベトナムなど)11か国と
アフリカの5か国が続く。
プラスチック生産量世界一のアメリカは、投棄量では20位である。
プラスチックは、成形や着色がしやすく、廉価で、いろいろな優れた性能を有しているので、
産業には欠かせない基礎資材になっている。
しかしながら、耐用年数が短く、また、一旦投棄されると、
自然界では分解されにくい (生分解性プラスチックもあるが、比率は僅か)。
そして、劣化が進むと、細かい破片になり、
地球上の陸や海の至るところに散らばってしまい、回収は不可能となる。
このプラスチックの破片が海洋で生活する動物に大変な悪影響をもたらす。

今や、プラスチックごみは、沿岸部分だけではなく、北極圏の氷の中、
深海などでも確認されており、海洋全体に広がっている。
そして、毎年、1,000万トン前後のプラスチックが投棄され続けている。

5月29日のブログ《ゆでガエル現象》で、海は、温暖化による大気中の熱を大量に吸収し、
大気の温度を調整するバッファーの役割を果たしていると書いた。
参照: http://terra1insight.dosugoi.net/e767472.html
海は、我々人類が発生させた余剰の熱だけではなく、
プラスチックという年々増え続ける大量のゴミまで吸収してくれているのである。
そして、その海の吸収能力、処理能力が限界点に達しつつある。

最近、テレビで、市街地のゴミ屋敷の問題を目にする。
今、『海のゴミ屋敷化』が、見えないところで、急速に進んでいる。
人類の文明は、明らかに分岐点に差し掛かっている。
残念ながら、人類が、この流れを好転させる智慧を持っているようには思えない。
《不都合な真実》から目を背け続ける限り。。。。