2016年03月25日
英語が上手くない
「日本人は英語が上手くない」
よく聞く話である。
大多数の人にとって
言語能力は 運動能力と同じで
毎日 一定の実践を続けないと すぐに失われていく。
しかし 日本人で 日常的に英語を使う必要がある人は少なく
多分 5%もいないのではないだろうか。
学生は 英語を 日常的に 授業で学ぶが
多くの学生にとっては 高校や大学の受験科目になっているので
読み書きを中心にした英語を勉強しているというのが実態であろう。
そもそも 日本で生活している限りにおいて
英語(他の外国語も含めて)が出来なくても 少しも困らないのである。
それでは 「英語が上手な国民」というと
英語を母国語としている
イギリス アメリカ カナダの英語圏 オーストラリア ニュージーランドという
いわゆる ファイブ・アイズ(Five Eyes)を除くと
シンガポール 香港 インド フィリピン アフリカの一部地域
中東から中央アジアの一部地域が挙げられる。
これらの国々は かつて 長期にわたって イギリスやアメリカの植民地であった。
教育を含む社会の制度基盤の隅々にまで イギリスやアメリカの影響が色濃く残っている。
一般の国民であっても
母国語の他に 公用語としての英語が出来なければ
日々の生活に支障が出る可能性が高い国々である。
このような国々でも もちろん 英語能力の個人差は非常に大きい。
また 西ヨーロッパには 英語を上手に話す人が多い。
これは 英語が もともとはドイツ語の一方言だったという事実にもよるだろうし
歴史的に 域内での人の交流が盛んであり
言語においても お互いに強く影響を与え合ってきたためであろう。
個人的な話であるが
現在 企業 一般社会人 中高大学生向けに
コミュニケーション能力として必要な英語を教えている。
自らの英語学習としては
中学から大学までの10年間
社会人になって 大手化学メーカー時代に
不定期に英会話学校に通った8年間
合計して 18年間を費やした。
そして 29歳の時に 外資系企業に転職してから
25年以上 日常的に仕事の上で英語を使ってきた。
専門は化学であるが
業務で たまたま海外との関わりが深く
上司、同僚、部下、顧客に外国人が多く
主な社内文書が すべて英語となると
共通言語としての英語をやらざるをえない環境であった。
そのために 随分と英語能力の向上に
時間とコストを費やしてきた。
幸いにも 業務の上では
外国人とのコミュニケーションで 特に困ったことはなかった。
しかしながら 今でも CNN ABC BBC VOA AFP などの
海外メディアのニュース(無料でネットで配信される分)を
丹念に読み聞きしたり
海外ドラマなどを真剣に一字一句聞き取るようにしながら
意味があやふやな 単語 熟語 構文などを書き抜いていると
あっという間にノート一杯になる。

言語学習は 実に 広範囲で 底が深いことを感じる。
英語を学ぼうとする時には
本格的に学習を始める前に
それぞれの個人に合った目的や目標(到達点)と学習方法を
しっかりと定めたほうが良いと思う。
そうでないと
幼稚園から小学校まで 高い月謝を払って キッズコースに通い
中学から大学まで 毎日のように
試験のために英語学習を続けても
いざ 外国人を前にした時に 相手の話す内容が聞き取れず
自らも一言も話せないという結果に愕然となる。
そして
「日本人は英語が上手くない」
というイメージが定着する。
日本人は
「英語は上手くなくても
英語の知識は 相当あるのに。。。。」
である。