2015年06月26日

徳川家康 3部作



徳川家康に関する小説を久し振りに読み返してみた。


司馬遼太郎が著した

『覇王の家』

『関ヶ原』

『城塞』

である。


私は、この三つの小説を、家康・3部作と呼んでいる。


覇王の家



『覇王の家』は、家康の8代前の漂泊の乞食坊主 

“徳阿弥”(松平親氏)から始まる。

小説の最初の部分で、松平家が発展と衰退を繰り返しながら、

家康の代に至る年月を簡潔に記している。


物語の中心は、

家康幼少期における織田家や今川家での人質時代、

今川家没落後の織田家との同盟時代へと続き、

そして、本能寺の変後の

豊臣秀吉との緊張関係から、尾張長久手の戦いまでが詳細に描かれている。


小説の最後の部分は、

関ヶ原の戦い、大坂冬の陣・夏の陣を飛ばして、

家康の駿府での最晩年から亡くなるまでを短く記してある。


『覇王の家』は、家康の人格形成に影響を与えた要因、

例えば、

生い立ちや三河の風土、

三河武士 (家康の家臣団) の気質などを知るのに良いと言える。


関ヶ原



次に、『関ヶ原』。 

秀吉亡き後の豊臣家を分断させ、

自らの行動に正義を与えながら、

秀頼の名の下に、

反徳川勢力を一掃するに至る、

家康の政治家、軍略家としての凄味が著されている。


小説自体は、(皮肉なことではあるが)  結果として、

家康の天下取りの一番の功労者となってしまう

石田三成とその家老・島左近の二人を軸に展開している。


家康が駆使した 武将(武士)の統率法や世論工作の上手さ、

政敵の分断方法の高等外交は、現代の政治情勢に置き換えても、光っている。


城塞



三つ目が『城塞』である。 

難攻不落の城と言われた

大坂城に籠る秀頼、淀君親子を破滅に追い込むまでの

大坂・冬の陣、夏の陣の物語である。


大坂方の淀君側近の女官や姻戚関係者、

高等文官たち、

そして浪人衆を中心とした主戦派の武人たちを

上手く離反集合させる

家康と彼の幕僚たちの優れた政治的な謀略が

細かく記されている。



先が見えない激動の時代にあって、自らは、どう身を処すべきか?

どの道を選択するのか?

どの勢力につくのか?



家康に対する先入観や好悪に関係なく、

政治を志す人や、組織のトップを担っていく方々に

何回も精読することをお薦めしたい3部作である。



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Posted by KFToyo  at 23:21 │Comments(0)社会歴史経営人生

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