2015年08月21日

中国・天津 爆発炎上事故




中国・天津市で起きた大規模爆発事故が連日報道されている。



爆発による直接の被害だけではなく


大量に保管されていた毒劇物や危険物による


環境汚染が更に被害を拡大させつつある。




直近の報道によると 最初 小規模の火災が発生して


消防が消火にあたっていたらしい。



ところが 貯蔵されていた危険物の中に


大量の金属ナトリウムがあった。

ナトリウム



金属ナトリウムは 金属光沢があり


ナイフなどで簡単に切れるほど柔らかい化学物質である。


 

水や空気中の水蒸気と激しく反応するので


通常は 水分との接触を防ぐために 灯油などに浸して保管されている。




消防法などによる法規制が厳しい化学物質なので


当然 一か所に保管できる数量も厳しく規制されていなければならない。




金属ナトリウムに水をかけると


激しく反応し 反応熱が生じて


水酸化ナトリウムという強塩基(強アルカリ)と水素が生成される。




この反応熱が熱源になって水素に引火すると大爆発がおきる。




中国の倉庫では この反応が起こってしまったと考えられる。



消火作業にあたっていた消防士に多くの犠牲者がいるのはこのためであろう。




金属ナトリウムに放水するとどうなるかは


現地の消防は 当然 知っていたであろうから


違法に無許可で大量に保管されていることを


消防が把握していなかった可能性が高い。




また 生成された水酸化ナトリウムの水溶液は


強塩基であるために 人間の皮膚に重大な損傷を与える。




大量のシアン化合物も保管されていたとのことなので


大規模爆発によって 毒劇物と危険物が 周辺の環境に


広範囲に拡散したと考えられる。




やはり心配された通りに


今夜のニュースでは


近くの川で魚の大量死が確認されたようだ。




金属ナトリウムについては 個人的に思い出がある。


もう何十年も昔


大学の研究室の仲間と


金属ナトリウムと水の反応を確認するために 


広いグラウンドの真ん中で


水たまりに少量の金属ナトリウムを投入したことがある。



小規模ではあったが、反応の激しさが確認された。


もちろん 後で 用心のために中和しておいたが。。。。。





金属ナトリウムと水との反応の激しさを示す映像が YouTube上にあった。

https://www.youtube.com/watch?v=Ptz7D_jOY1I




第二次大戦後 米軍が金属ナトリウムのドラム缶を


湖に投棄して処分した時の映像である。


環境保護のための法規制が厳しくなる前の時代とはいえ


昔は随分と 大胆に 危ないことをやったものである。




このYouTubeの爆発映像と


ニュースで流れている天津の爆発映像が そっくりであることが分かる。




中国の爆発事故は 明らかに いくつもの法律違反や


化学物質の取り扱いの不備から生じた人災であろう。




10年以上前の話であるが


中国の ある化学工場で


常識では考えられないような 粗末な反応設備で


高温高圧の合成反応をやっていたり


有害な廃棄物をほとんど処理せずに


周辺の河川や湖沼に垂れ流しているのを


実際に目にしたことがある。




その後 中国の化学産業は 近代化され


先進国に追いついたなどと言われてきたが


せっかくここ10年ほどで築いてきた信頼も


かなり怪しくなってきてしまった。




中国共産党政府が


今回の大事故の原因をどのように究明し


今後の再発防止策につなげていくのか。。。。



プロセスの透明性も含めて 目が離せない。


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Posted by KFToyo  at 00:30 │Comments(0)社会国際環境災害科学

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