2015年06月12日
《幻の東京オリンピック 1940年》
【幻に終わった東京オリンピック】
今から75年前、大東亜戦争直前の昭和15年(1940年)に
東京でオリンピックが開催される予定であったことを知る人はどの位いるのだろうか。
当時、アジア地域において、自前の国内オリンピック委員会を持つ独立国は、
日本、中華民国、アフガニスタン、それにアメリカ領フィリピン、イギリス領インドを加えても3か国と2地域しかなかった。
アジアの大半の民族や地域は、欧米列強の植民地であった。
そのような情勢下で、欧米以外の国で、初めて、
日本でオリンピックが開催されるということが決定したのは昭和11年であった。
昭和11年といえば、陸軍の青年将校を中心にした226事件が起きた年でもある。
有色人種がオリンピック開催地に立候補したということで、日本にとっては、
欧米諸国との間で、かなり政治的な駆け引きや譲歩を水面下行って、
やっと勝ち得た開催権であった。
しかしながら、昭和11年以降、中国に莫大な既得権益を持っていたイギリス、アメリカと、
新しく利権を求めて進出してきていた日本との衝突が避けられない情勢となる中で、
昭和13年に、東京オリンピックの開催権返上が行われた。
昭和15年に開催予定だったオリンピックは、
東京の次点であったヘルシンキで開催されることも検討されたが、
結局、ヨーロッパ戦線の戦闘激化から第二次世界大戦につながる流れの中で、中止となった。
幻の東京オリンピックから80年、
平成32年(2020年)に、東京でオリンピックが開催される予定になっている。
途中、56年前の昭和39年(1964年)に、アジアで初めて、
有色人種としても最初の第18回夏季オリンピックが東京で開催されてはいるが、
5年後の東京オリンピックを取り巻く現在の環境は、56年前よりも75年前と似通っている。
今後、南北朝鮮は、あらゆる政治的、軍事的手段を用いて、
日本で開催されるビッグイベントを阻止するか、不成功に終わるように全力を尽くして妨害してくるであろう。
中国やロシアは、東京オリンピックへの参加というカードを、
外交、経済、軍事、政治のすべての領域で、
日本から譲歩を引き出すための有効なカードとして使ってくるだろう。
欧米、特にアメリカとイギリスは、
東アジア(主に中国)における自らの権益が最大化されている限り、
東京オリンピックの邪魔をすることはないだろうが、あくまで、これからの情勢次第である。
東南アジアやアフリカ諸国などは、中国の顔色を窺うことになる。
国内では、与野党共に、自らの党や派閥に有利になるように、
東京オリンピック開催を政治的に利用してくるであろう。
平成32年(2020年)が近づくにつれて、
およそ平和の祭典に相応しくない出来事が頻発してくるに違いない。
地震や自然災害も心配ではあるが、
先ずは、政治的な揺さぶりに右往左往せず、
冷静に、長期的かつ広い視野で、
東京オリンピックが『平和の祭典』になるように努めたいものである。