2015年05月26日

創業のタイミング (景気循環)

創業する時に、自分が考えたビジネスモデル(事業)を、どのタイミングで始めるかは、事業が成功するかどうかの大切な要素である。

始める時期を決定する要素には、二つの側面がある。 一つは、自分自身にかかわる 内的要素 、もう一つは、外的要素である。

内的要素としては、年齢、経験、家族、資金、人との出会いなどが挙げられる。 事業を始めるときには、これらが、プラス要素に働くよう努めなければならない。

外的要素には、規制・法律と景気動向がある。 

企業のコンプライアンスは必須条項である。 規制・法律の遵守及び倫理規定の尊重は、企業の体質を決めるので、自営業などの小規模でのスタートであっても、創業時に方針を決めておくことが奨められる。

もう一つの外的要素である景気動向は、事業成功の鍵を握る重要な要素であるが、景気の現状を把握し、将来を予測するのは容易ではない。 しかし、景気は、ある程度の循環性をもっている


景気動向の見極めについては、ヨーゼフ・シュンペーターの景気循環論が参考になる。

シュンぺーターは、“イノベーション”の提唱者で有名であるが、景気循環論も唱えている。


景気循環論によると、景気には、その原因と周期の長さに応じて、4種類の循環がある。

先ず、比較的短い約40か月(3年強)を周期とする “キチン循環” があり、これは、主に企業の在庫変動に起因していると見られる。

在庫変動は、グローバル化やIT化などにより、サプライチェーン・マネジメント(SCM)が進化し、在庫調整が短期化してきたために不明瞭になってきつつある。


二番目が、“ジュグラー循環” と呼ばれるもので、約10年の周期をもち、設備投資に起因している。 中期波動とも言われる。


三番目が、“クズネッツ循環” であり、約20年の周期をもつ。 建設需要や人口の変化に起因するとされている。


最後が、“コンドラチェフ循環(コンドラチェフの波)” である。

これは、約50年の周期をもち、シュンぺーターが言うところのイノベーション(狭義には技術革新)によるものである。

例えば、第1波は、18世紀末から19世紀前半にかけての蒸気機関、紡績機の発明による産業革命の時期、第2波は、19世紀後半の鉄道技術の発達と鉄道の敷設、

そして、第3波は、19世紀末から20世紀前半にかけての電気、化学、自動車の発達が、それぞれイノベーションの波である。

20世紀後半から現在の期間は、コンピューターの進歩、通信速度と通信網の発達である。

さらに、これからの50年は、人工知能、宇宙技術、ロボット、ビッグデータの活用、そして生命・医療科学の発展・普及がコンドラチェフの波の主なイノベーションの対象となると予想される。

この循環は、長期波動とも言われているが、イノベーション以外の要因として、戦争があげられる場合もある。


創業は、自分で用意した船(会社)に乗り、自分で描いた羅針盤(事業計画)に従って、大海原(競争市場)に乗り出すようなものだ。

景気には、少なくとも4種類に分けられる循環があることを念頭において、自分が乗り出そうとしている市場(産業や業種)の景気がどの循環のどの時期にあるのか、予め知っておきたいものだ。

景気循環(景気の波)を見極めた上で、創業のタイミング、規模などを決定すれば、事業成功の可能性を高めることができる。

人生や社運をかけてチャレンジするのであるから、是非、順風満帆で良い波に乗りたいものである。


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Posted by KFToyo  at 12:01 │Comments(0)経済経営ビジネス創業

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